ロータリーの哲学を端的に表現し、職業奉仕の理念の実行に役立つものとして、四つのテストがあります。このテストは、シカゴのロータリアンであり、後にロータリー創始50周年(1954-55)に、国際ロータリー会長を務めたハーバート・J.・テーラーが、1932年の世界大恐慌のときに考えたもので、商取引の公正さを測る尺度として、以後、多くのロータリアンに活用されてきました。

彼は、シカゴに本拠をおくジュエル・ティー(Jewel Tea)株式会社の代表役員でしたが、1932年にクラブ・アルミニウム(Club Aluminum)製品株式会社を破産の危機から救ってほしいと要請され、クラブ・アルミニウム社に移り、この会社を再生させる決心をしたのです。
大不況の中で、低迷している会社を再生させるには、会社の中に、同業者にはない何かを育成しなければなりません。テーラーはその何かに社員の人格と信頼性と奉仕の心を選んだのです。そして、その育成の指針として会社の全従業員が使えるような倫理上の尺度として作られたのが四つのテストです。

四つのテスト

  • 真実かどうか
  • みんなに公平か
  • 好意と友情を深めるか
  • みんなのためになるかどうか

言行はこれに照らしてから行うべし

The Four-Way Test

Of the things we think, say or do

  • Is it the TRUTH ?
  • Is it FAIR to all concerned ?
  • Will it build GOOD WILL and BETTER FRIENDSHIP ?
  • Will it be BENEFICIAL to all concerned ?

テーラーの会社の4人の部長は、それぞれ宗教的立場が違いましたが、全員、このテストが、自分の信じる宗教に合致するだけでなく、会社や個人の生活にも模範となる価値観を与えてくれると述べたということです。

四つのテストは簡単な言葉ですが、クラブ・アルミニウム社の苦境期の決定を下す基盤となりました。会社の広告も、テストに照らし合わせて検討し、最上、極上などの表現を避け、製品の実際の姿を手短に述べるかたちに変わりました。ライバル会社への非難、悪口は、広告や販売推進パンフレットから姿を消しました。従業員は四つのテストを暗記するよう求められ、やがて、テストは、仕事のあらゆる面における指針となりました。
その結果、信頼と好意の雰囲気が、取引先や顧客や従業員の中に育まれ、会社の業績が次第に好転していきました。5年後の1937年までに40万ドルの負債は利子とともに完済され、その後の15年間で、会社は株主に対して100万ドル以上の配当を行い、その資産は200万ドル近くになりました。テストによって自分の生き方が変わった、と述べる手紙が数えきれないほどハーバート・テーラーのもとに寄せられたということです。

国際ロータリー理事会は、1945年1月に、四つのテストにロータリークラブの注意を喚起すべきであると決定するとともに、2004年の規定審議会において四つのテストを明記した決議を行っております。四つのテストは職業奉仕の理念を端的に表すものとして、国際ロータリーにより多くの言語で出版されています。